大手キャリア回線とMVNO(仮想移動体通信事業者)
まず始めに、ドイツにおける大手キャリア回線とMVNO(仮想移動体通信事業者)の状況について説明しておきます。
- ドイツでは大手キャリアは以下の4社の寡占状態です:Telekom、O2、Vodafone、1&1
- MVNO(仮想移動体通信事業者)は、約50社ほどあるようです。これらは、回線を上記の大手キャリア4社から借りて利用しています。また1&1は元々MVNOとして最大手でしたが、現在は第4のキャリアとして自社網の整備を進めています。MVNO上位6社を挙げると以下のようになります:ただし、1&1は現状でも多くのエリアで他社回線(旧Vodafone、現在はO2への切り替え中)をローミングで利用しており、実質的には格安ブランドに近い立ち位置で強力なキャンペーンを展開しています。( )は利用している大手キャリア
- Aldi Talk(O2):ドイツで最も普及している格安SIMの一つ。大手スーパーALDIで購入でき、コスパが非常に高い。
- Lidl Connect(Vodafone) :スーパーLidlのブランド。Vodafone回線を利用しており、地方でも比較的安定している。
- congstar(Telekom):Telekomの直系サブブランド。高品質なTelekom回線を安く使いたい層に圧倒的人気。
- Blau(O2):O2直系の格安ブランド。シンプルで低価格なプランが豊富。
- Otelo(Vodafone):Vodafone直系の格安ブランド。若年層やデータ通信を多用する層をターゲットにしています。
- Tchibo Mobil(O2):コーヒーチェーンのTchiboが展開。ドイツにおけるMVNOの先駆け的存在で、根強いファンが多い。
freenetについて
私は、ここに挙げられていないfreenetという会社を利用しているのですが、これはやや特殊な立ち位置になっています。freenet(旧 mobilcom-debitel)は、ドイツのMVNO市場において、他の格安ブランドとは異なり「国内最大かつ唯一の独立系サービスプロバイダー」という特殊な立ち位置にあります。「格安SIM業者」という枠組みを超えた、同社の主な特徴とポジションを解説します。
- 「ネットワーク独立型」の圧倒的シェア:freenetは、ドイツの主要3キャリア(Telekom, Vodafone, O2)すべてと提携している唯一の独立系大手です。
- 15%以上の市場シェア: MVNOとしては異例の規模で、約740万人以上の契約者を抱えています。
- 「格安」だけでなく「フルサービス」も展開:一般的なMVNOは「安さ」を売りにしますが、freenetは2つの異なる顔を持っています。
- メインブランド(freenet): 大手キャリアの正規プランと同等のサービス(端末セット販売、5G対応、実店舗でのサポート)を提供。
- 格安ブランド(klarmobil.de / freenet Mobile): 徹底した価格競争力を持つサブブランドを展開し、ディスカウント層もカバー。
- 強力な実店舗ネットワーク:多くのMVNOがオンライン販売に特化する中、freenetはドイツ全土に約500以上の専門ショップを展開しています。また、MediaMarktやSaturnといった大手家電量販店の中にもカウンターを持っており、「対面で契約できる安心感」を武器に、デジタルに不慣れな層やビジネス層も取り込んでいます。
- 「デジタルライフスタイル」への転換:2026年現在のfreenetは、単なる通信会社から「デジタルライフスタイル・プロバイダー」への脱皮を鮮明にしています。TV/ストリーミング事業: 子会社の「waipu.tv」は、現在ドイツのIPTV市場で急成長しており、モバイル通信とテレビ視聴をセットにした「コンバージェンス(融合)プラン」で、大手キャリアと真っ向から競合しています。
日本で例えるなら、「ビックカメラやヨドバシカメラが自社ブランドのSIMを、ドコモ・au・ソフトバンク全回線選べる形で、キャリア並みのサポート付きで全国展開している」というイメージでしょうか。
プリペイド携帯:
プリペイド携帯とは、プリペイド用の(e)SIMを購入することによって得た自分の電話番号に対して、「事前に」クレジット(Guthaben)をチャージしておき、そこからの必要なサーヴィスを購入することによって、携帯電話を利用するという形式の携帯電話です。
日本では、政府の方針と通信事業者の都合でほぼ絶滅した感があるプリペイド携帯ですが、ドイツでは非常に普及しています。ただしプリペイドSIMを使おうとしたとき、本人確認(法律で規定されています)が非常に厳格です。
あくまでも、SIMによってプリペイドになるので、それ専用の端末があるわけではなく、すでに所有している(日本で使用していた端末でも構わない)端末にプリペイドSIMを使用することによって、プリペイド携帯として使用できます。ただし端末はSIMフリーのものでなくてはなりません。
プリペイドSIMをドイツで入手する方法
大きく分けて、ドイツでプリペイドSIMを入手する方は3つあります。以下、それぞれの入手方法と開通(アクティベーション)について3つに分けて解説します。
1. スーパーやドラッグストアで購入する方法
入手方法:この方法は、3つの中で最も一般的かもしれません。ALDIやLidl、REWEといったスーパー、またはRossmannやdmなどのドラッグストアのレジ付近に、プリペイドSIMのスターターセット(通常€10前後で,同額のクレジットが付属)が置いてあります。後述のプリペイドカードと間違わないようにしてください。SIMの入手方法は、これをレジで購入して持ち帰るだけです。ただしこの時点ではまだ使えません。
開通方法1:専用のアプリやWebサイトや専用アプリから本人登録を行い、本人確認を済ませると開通します。専用アプリをインストールして、オペレーターとビデオ通話をつなぎます。カメラ越しにパスポートの顔写真ページやホログラム(傾けて見せる)を提示し、顔との照合が行われます。この作業は、英語かドイツ語で行います。「パスポートを動かして」「指で隠さないで」といった指示に従う必要があります。
重要!:ただしこの方法は、日本から持ってきた端末を使う場合、使えない可能性があります。というのも、Apple ID(Googleアカウント)の居住地情報を日本に設定してある場合、その端末は、SIM専用のアプリがインストールできない可能性が高いです。また少なくともiPhoneでは、この情報を変更すると、今度は日本でしかインストールできないアプリが機能しなくなる可能性があります。またそのApple IDを利用しているサブスク、アプリのアップデート、チャージの残高等に影響が出て来ます。さらにそれは、スマホだけで無く、同じApple IDを使用している、全てのデバイスに影響してきます。そのため、Apple IDの居住地情報の変更はお勧めしません。
対応策として、パソコンを利用してSIM専用のWebサイトから同様に本人確認を行うことが現実的です。
開通方法2:PostIdent(郵便局での確認)を利用する方法。以下にPostIdentについて説明したリンクを示しておきます。
https://www.deutschepost.de/de/p/postident.html
この方法は、ビデオ通話がうまくいかない場合や、あえてこの方法を選んだ場合の開通方法です。SIM専用Web上でSIMの登録後に発行されるPostIdentクーポン(バーコード)とパスポートを持って、最寄りのDeutsche Postの窓口へ行きます。局員が身分証を確認し、データをスキャンしてくれます。これで本人確認作業は終了です。手数料はかかりません。
2. キャリアショップや家電量販店で購入する方法
入手方法:Telekom、Vodafone、O2ないしはfreenetの直営ショップや、Saturn、 MediaMarktなどの家電量販店でSIMを購入します。
開通方法:店員がその場で、本人確認と開通手続きを代行してくれます。この手続きは、外国人であるのか、そうでないのかを区別する必要はないので、必要書類は、居住地を証明するもの通常は住民票(Meldebestätigung)だけです。ホテルや知人宅等に滞在していて、住民登録を行っていないという場合は、パスポートとホテル等の住所でもよいようです。私が以前使っていたSIMの登録情報をチェックしてみたら、きちんと住民票を提示したにもかかわらず、登録先が家電量販店の住所になっていました。本音では、いちいち本人確認するのは面倒なのかもしれません。
3. オンラインでeSIMを契約する方法
入手方法:物理的なカードではなく、スマホから直接eSIMを契約する方法です。各社のアプリをダウンロードしてeSIMを購入します。
開通方法:この方法は、うまくいった場合、開通まで最短ですが、日本から持ってきた端末を使う場合、この方法は使えない可能性があります。というのも、居住地情報を日本に設定してある端末は、それぞれのeSIM専用のアプリがインストールできない可能性が高いです。またこのパターンでは、Webサイトが用意されていない場合がほとんどのようで、上述のようなApple IDの居住地情報をドイツに変更するデメリットを考えた時、長期滞在が前提でないとこのパターンの利用は現実性が低いです。
ただしアプリのインストールに成功し、起動できた場合、アプリ内で本人確認(VideoIdent)を行うと、数分〜数時間でQRコードが発行され、通信可能になります。
プリペイドSIMの料金体系
以下はVodafoneのサーヴィスについて述べます。他社の場合も、細かい数値は違うものの、システムとして大枠で同様です。料金体系には大きく分けて、以下のようなものがあります。
- プラン1:通常4週間単位の契約。その期間内に○○通までのSMS、○○GBまでのインターネット接続、そして多くの場合、無制限の携帯電話での通話が利用可能となり、その量に応じて○○ユーロ分のクレジットが契約を開始した時点で引き落とされます。例えばVodafoneのCallya Allnet Flat Sというプランでは、25GBの高速インターネット接続とドイツ国内での無制限通話および無制限のSMSが利用可能で、4週間で9.99 Euroという感じです。
- プラン2:全てが従量制。SMS一通あたりの○○のクレジット、1GBあたり○○のクレジット、通話30秒あたり○○のクレジットが事前にチャージしてあった分から随時引き落とされる。このプランの場合、基本料金等にあたるものがないので、全く携帯を使わなければ(受信のみは無料)、クレジットは全く消費されません。
ただし、一定期間(例えば1年間)携帯を使わない状態だと、チャージしたクレジットは凍結され、その後チャージを行った時点でクレジットは復活します。さらにその後(例えば1年半)、全く携帯を使わないと、SIMそのものが、抹消されその番号はクレジットの残額を含め、その後使うことはできなくなります(復活も不可能)
このルールは、色々興味深い点があるので、また記事を改めて紹介したいと思います。
- プラン2からプラン1への変更は随時可能。プラン1からプラン2への変更、およびプラン1の中でのGBの使用制限量が異なるプランへの変更は、当初の契約期間(通常4週間単位)終了後に変更可能。
- プラン1は、何も手続きを行わなかった場合、契約期間の終了後、自動的に同じプランで契約が延長されます。またプラン1で、契約期間内にGBの使用制限量に到達してしまった場合、接続速度が大幅に落ちることになります。それを避けるために、GBを追加で別途購入することも可能です。
プリペイド携帯のチャージについて
プリペイド(Prepaid)なので、利用するには、クレジットのチャージ(Aufladen)が必要です。
クレジットのチャージにはSIM専用のアプリにクレジットカードやPaypalを登録して、自動引き落としの設定にすることが一番便利なのですが、これまで述べてきたように、専用アプリをインストールすることができない可能性が高いと思いますので、この方法は使えない可能性が高いです。
それ以外の方法として、プリペイドカード(Aufladekarte)を購入して、それを使ってクレジットをチャージするということができます。
私はVodafoneの回線を利用しているfreenetという会社のプリペイドSIM (Vodafone)を利用しています。それ以外の携帯会社も概ね似たような設定のはずですが、Vodafoneの例で説明していきます。
プリペイドカードはキオスク、ガソリンスタンド、スーパーマーケット、Vodafoneショップなどで購入できます。ただしVodafoneショップでは、ショップの側で自分の番号にクレジットを自動的にチャージしてくれるが、逆にこちらの電話番号を向こうに伝える必要があり、手続き的にはやや面倒。それに対して他の方法では、単にプリペイドカードを購入するだけです。その後自分の端末を操作してプリペイドカードに記載してあるチャージ番号を入力することでチャージがなされます。

プリペイドカードはこんな感じで売っています。これはMediaMarktの店内

綺麗なパッケージをレジに持っていくと、実際に渡されるプリペイド・カード(Aufladekarte)というの上記(右側)のような、一見レシートを区別つかないような紙切れです。プリペイド・カードを購入すると、必ずレシートも発行されると思いますので、最低2枚レシートらしき紙が渡されるので、間違って捨てないようにしてください。ここにあるPINと書いてある番号がだけが重要で、クレジットをチャージするために必要な番号です。知り合いから聞いた話では、レジのおじさんが紙を発行するのすら面倒で、「口頭でPINを読み上げるから、目の前で入力してくれ!」というケースすらあるようです。
プリペイドカードを使ってのクレジットのチャージ方法
- 端末で22922に電話します。Kontoserverという番号に接続します。通話料金は発生しませんし、後述の回線の利用は凍結された状態(番号はまだ抹消されていない!)でも使用は可能です。
- まず最初に、音声アナウンスで現在のクレジットの残高の情報が伝えられ、その後、操作について説明がなされます。説明の途中でも端末から必要な数字を入力すると、当該のメニューの説明が始まります。最初から説明をくり返してもらいたい場合「0」を入力します。
以下それぞれの操作について説明していきます。イメージとして、指示に従って選択しながら下の階層に降りていく感じです。数字は全て端末上で入力する数字です。
1:自分の回線へクレジットをチャージ、クレジットを他の回線に譲渡、クレジットを他の回線から譲渡する場合
- カード(Aufladekarte)に記載された暗唱番号を入力することで自分の回線へクレジットのチャージ:2→これが一番頻繁に使用するでしょうから、さらに進めていきます。次にカード(Aufladekarte)に記載されたチャージ番号を入力することで自分の回線へクレジットのチャージする:1
- その次に、プリペイドカードに記載されているチャージ番号を入力し、その後に Raute-Taste (#)を押します。その後チャージ後のクレジット残高が読み上げられ、確認を求められるので、確認「1」を入力します。これでチャージは完了ですので電話を切っても構いません。
- クレジットを他の回線に譲渡、クレジットを他の回線から譲渡する場合:3
2:クレジットの残高の確認、および発信可能なSMSの数と高速回線で利用可能なGBの残高の確認
- クレジットの残高の確認:1
- 発信可能なSMSの数と高速回線で利用可能なGBの残高:3
3:現在選択されている料金プランの情報(プランの詳細とその適用期間)、プランの変更、オプションの購入。
- プランを変更する:1
- (クレジットを使って)その他のオプション(例えば追加のGB)を購入する:4
4:言語の選択、英語かドイツ語の選択が可能です