始まり
2026年4月より、客員研究員としてドイツの大学の方に滞在する可能性が出て来ました。先方の大学と打ち合わせた結果、2025年6月の段階で、2026年4月1日より1年間、客員研究員として研究のための滞在を承諾されました。その結果を受けて、自らの大学に研究のための滞在の申請を行いました。こちらもその後許可を受けました。
90日以上ドイツに滞在する場合、日本国籍保持者は、長期滞在用のヴィザを取得する必要があるのですが、ここからが試練の始まりでした。約10年前(2017年)に全く同様の条件でドイツに滞在していたので、今回も手続きは基本的に同様あろうとは考えていたのですが、念のため日本のドイツ大使館のホームページを念入りに読み込んでみます.
ヴィザの申請
前回申請時と大きな変更があるようです(2025年時点)。要約すると:
- 観光目的等、ドイツを含むシェンゲン協定を締結している国(≒EU加盟国)への訪問の場合、滞在期間が90日以内ならば、日本国籍を有する者は、観光・商用を問わずヴィザは必要ありません。
- それに対して、90日以上滞在する予定の場合、日本に滞在中に、ヴィザの発給の申請を行う。申請は、必要書類を大使館のポータル・サイトにアップロードすることで行います。
- 大きな変更!:もしくは、現地(この場合ドイツ)到着後、現地の外国人登録を管轄する部局でヴィザの発給を申請する。この場合も、申請は、必要書類を外国人登録を管轄する部局のポータル・サイトにアップロードすることで行います。
日本のドイツ大使館での申請
3番目に記載した現地での申請というのは、以前は絶対に認められなかったので、制度が大幅に変更になったようです。ただし、ドイツで申請した場合、万一必要書類の不備を指摘された時には、その書類を日本から取り寄せなくてはならなくなります。そこで安全のため私は、在日本大使館での申請を選びました。これが、お役所への対応地獄の始まりでした。
ポータル・サイトでの申請
まず大使館のポータル・サイトが、絶望的に分かりにくいのです。ただし向こうは、我々の申請を「許可する」側なので、丁寧なアドヴァイス等など期待できないことは肝に銘じておく必要があります。こちらの側の理解不足・ミスは単にヴィザが発給されないということになるだけです。間違っても、向こうをサーヴィス業などと同列視してはいけません。
それにしても、このポータルが絶望的に使いにくい。いくつか例をあげると
- まず自分が申請するべきヴィザの種類(労働ヴィザ、家族呼び寄せのためヴィザ、就学ヴィザ、研究滞在ヴィザ)の区別がわかりにくい。この区別をきちんとしないと、必要書類が全く変わってくるので、確信を持って選択したいのであるが、それに対するQA的なものが、全く準備されていない。例えば研究滞在だとしても、先方と賃金の支払いを伴う関係の有無で必要な書類も大幅に変わってきます。
- 申請するヴィザの種類によっては、手引きとして日本語版が準備されています。しかしながらあくまでもそれは参考であり、他の言語のバージョンと内容に相違がある場合、あくまでもドイツ語の原文のみに対してのみ責任を負うと明記してあります。さらに原文と思われるドイツ語版が存在しない文書、英語版のみしか存在しない文書などもアップロードしてあり、非常に混乱します。結局ドイツ語版に依拠せざるを得ないのですが、英語での説明の方が丁寧だったりします。さらに記載言語によって、書いてあることが結構違っており、必要書類の項目だったりすると、非常に困ります。
- ポータル上で、必要書類を指示された順にアップロードしていかないと次の手順に進めない。その場合、「その他」の選択肢や、こちら側が補足説明をするための、自由記述欄が全く準備されておらず、選択肢の中に自分に該当するものがない場合、「詰んでしまう」。例えば、ドイツ以外で取得した学位や高等教育機関での成績について、ドイツの基準に照らし合わせた評価を示す文書を同時にアップロードしないと次のステップに進めません。しかしながら私はそもそもドイツの大学で学位を取得しているので、こうした書類が存在しません。とりあえず次に進まないと、さらに何を要求されるのかもわからないので、試しに白紙をアップロードしたら、何と次に進めました。とりあえず何かアップロードすれば良い仕様になっているようです。
- こうした場合、直接問い合わせを行いたいが、問い合わせ先電話番号が公開されていない(存在しない)
- 問い合わせ先としてメールアドレスが公開されているが、実際に問い合わせを行うと、自動返信メールで「ホームページの説明をよく読んでください。これをもって返信となり、担当者にはあなたのメールは転送されません」という、極めて「親切」な返信が返ってくるだけである。この後もドイツの至るところで経験するのですが、「DX化」の実情というのは、こんなものなのかも知れません。日本の未来を見たような気がしています。
ともかく必要書類を全てアップロードすると、ポータル上では書類が受理された旨が表示され、「現在予備審査中です」という表示が出ます。予備審査が終了した後、書類不備がある場合、さらに必要書類をアップロードするように連絡が来ると表示も出ています。またそれが終了して初めて、大使館での審査のための来訪日程が通知されるようです。書類の受理の表示が出るので、こちらの申請が少なくとも先方に伝わっていることは確認できるのですが、その審査にどれくらいの日程を要するのか全く知る術がありません。メールで問い合わせを行ったのですが、上記の「丁寧な」返信が来るだけです。
悪あがき
つまり、ここまで生身の人間との(メールを通してでさえ)やりとりは、全く成立していません。この状況で、おとなしくお家で待機しているのが、礼儀正しい日本人の振る舞いなのでしょうが、場合によっては全く連絡がこないまま、研究滞在が始まる4月を迎えるという事態も想定されたので、悪あがきをします。
とりあえず、職員と相対して話を進めるために、予約日程を自分の方で設定できるシェンゲン・ヴィザ枠で予約を入れて、大使館に出向きました。12月初頭に予約を試みたところ、最初に予約可能な日程は、1月29日でした。つまり予約枠をとるだけで2ヶ月待たなくてはならないわけです。
しかしながら、実際に大使館に足を運んで、事情を話したところ、申請枠が間違っているということで、単に追い返されました。

(東京麻布にあるドイツ大使館)
2026年1月29日:そこで同日中に即座に大使館(東京)のポータル・サイト上で必要書類をアップロードして、長期滞在用ビザの申請を行いました。
その後、毎日ポータルをチェックするのですが「事前審査中」のまま一向に変化する気配がありません。次第に先方から承諾を受けた研究期間の開始日が迫ってきます。
審査状況について大使館に問い合わせても、前述の自動返信が返ってくるのみで全く埒があきません。大使館への来訪日も確定しない状態では、当然渡航の日程も確定できないので、航空券の予約もできません。
方針転換
3月19日:本来の渡航予定まで、10日程に迫ったところで、方針転換することにしました。前述のドイツでの申請に切り替えることにしました。
現在東京でヴィザ取得のための申請中をしているが、一向に返事が来ず、またその進捗状況も通知されない。その状況下でドイツでの直接申請が可能かどうか、私の現地での申請先になる予定のハンブルク州外国人局(正式名称はHamburg Welcome Centerと言います)にメールで問い合わせを行います.
3月20日:翌日にWelcome Centerより返信ありました.内容としては、申請は可能である。ただし申請前にハンブルクにおいて住民登録(Einwohnermeldung)をしておく必要があるとのことでした。住民登録は、ドイツに入国後でないとできないので、とりあえず現地に向かうために航空券を手配します。一般的に航空券は事前に手配すればするほど、割安に手に入れられます。これほど直前に手に入れたのは初めてだったので、値段にビックリ。
ドイツへの渡航
4月6日:渡航。シベリア上空を飛ぶルートは、長らく続くウクライナでの戦争の影響で使うことができません(中国の航空会社を使えば別ですが...)。それに加えて今回は、アメリカとイランの間の戦争により、中東経由の便も運行状況が非常に不安定になっています。残るは、アラスカ-北極経由のいわゆる「北回り」ルートです。ある世代から上の人はご存じだと思いますが、以前はアンカレッジ空港に給油のために途中降機し、一休みという路線です。しかしながら現在では航空機の性能が向上したため、北回りでも東京からノンストップでヨーロッパに飛べるようになっています。そのため飛行時間(=機内にいる時間)が非常に長くて苦痛です。可能な限り乗り換えまでの時間が短い路線を考え、ヘルシンキ乗り換え便を選択しました。

(フィンエアーからもらった北極上空通過証明書!)
入国拒否?
4月7日:乗り換え地のヘルシンキにて問題となる。ヘルシンキ空港は、シェンゲン地域外からシェンゲン地域への入り口なので、入国チェックがあります。日本のパスポートを見せると、何も聞かれずそのままスルーということすらあるのですが、普通は滞在予定日数・滞在目的くらいは聞かれます。ここで問題発生です。
滞在予定日数を聞かれたので、嘘をつく訳にはいかないので、「1年」と答えました。そうするとシェンゲン地域内のヴィザなし滞在許可は、日本人は90日ですので、「当然のことながら」ヴィザの提示と帰りの航空券の提示を求められました。「最終目的地はドイツなのですが、ドイツは日本人に対しては、現地に到着してから、ヴィザを申請することが認められており、その予定なので、現在はヴィザを所持していない(発行されていない)」と答えました。その瞬間、国境係官の顔色がみるみる変化しました。
同じ便で飛んできた人達が、私の後ろに大勢並んでいたのですが、事態のただならぬことを察したのか、あっという間に私の後ろから消え、他の列に並び始めました。
国境係官は、「ヴィザ取得に関して、そんな話は聞いたことがない!」と言って、入国を認めなさそうな様子です。私自身も最初はそう思っていました。そうは言っても、ここで強制送還は困るので、ドイツ外務省のホームページを調べるなり、ドイツの担当者に聞くなりして、私の主張が正しいことを確認してくれ、とお願いするしかありません。そうこうするうちに、この係官は、自分のブースから立ち去り、どっかに行ってしまいました。人間年齢を重ねてくると、少々のことでは動揺しなくなってくるものですが、久々にこれはやばそうだなと感じつつ、待つこと10分。妻は何が起こっているのかも理解していないようで、澄ました顔です。先ほどの係官が戻ってきて、上司と話した結果について説明すると言って、話を始めました。要点をまとめると以下のようになるようです。
1.あなたの主張はその通りで、ドイツに到着してからヴィザを申請することは可能である(←だからそう言ったでしょう!)
2.あなたは、フィンランドに入国して、この先ドイツに飛んでもかまいません(←一安心)
3.ただし!ドイツ政府は、あなたにヴィザを発給するとは約束していないことになりますね(←よく考えるとその通りです)
4.もしあなたがドイツで長期滞在ヴィザを取得することができず、かつこの後90日以上ドイツに滞在した場合、不法滞在ということになるので、日本に帰国しなくてはなりません(←これもおっしゃる通りです)
5.もしそうなった場合、あなたは現在復路としてハンブルク→ヘルシンキ→東京という航空券を持っていますが、フィンランド政府は、この航空券を使用してフィンランドに入国することを認めません!(←え〜〜)
6.つまり、事実上の「強制退去」になった場合、フィンランドを含むシェンゲン協定加盟国は、自国を経由しての日本への帰国を認めないということのようです。私は自分の理解が正しいのか確かめるために、「つまり私は、ドイツでヴィザを取得できず帰国する場合、ドイツから直接日本に飛ぶ便で帰れという意味なのですか?」と聞いたところ、答えは「yes」でした。
ともかく、めでたくフィンランドへの入国は許可され、乗り換え便でハンブルクに到着しました。
ハンブルクでの住民登録
4月8日:予想外なことに、ハンブルクでの大家さんが空港に迎えに来てくれていました。住居に到着し、荷ほどきもそこそに、ハンブルクにて住民登録の手続きをを行います。単に管轄のBezirksamt(区役所?)に行って、住所を登録するだけ(少なくとも以前の滞在はそうだったのですが)と思っていたのですが、この間の「DX化」によって大きく状況は変わっていたようです。
ここでもポータルサイトにアクセスして、予約をとり、その指定された時間に出向くという仕組みになっているようです。私の住所を管轄する区役所の予約枠をポータルで見ると、何と直近で1ヶ月後!と表示されています。入国後2週間以内に住民登録をする義務があると、指示されているのに、予約が取れるのが1ヶ月後ってどういうこと、という感じです。
こちらの友人が、「DX化って業務プロセスのデジタル化っていう感じの意味だと思うんだけど、ドイツの役所などで現在進行しているのは、業務の「電化」だよね」と皮肉っていました。「ネット申請などが導入されても、サーヴィスの受け手の側の利便性が向上するということは全くないからね」とも。何か東京でのヴィザに関するこれまでの経緯の原因がぼんやりと見えてきた気がしてきました。
ともかくハンブルク州の公式のポータルをよく見ると、予約さえ入れられれば、自分の居住地を問わずハンブルクにあるどの区役所(ハンブルクは現在7つの行政区に下位区分されています)でも登録は可能なようです。当然町外れの区役所は比較的枠が多く空いています。翌日の枠が空いていた最北の区役所に車を小一時間ほど飛ばして、向かいました。
信じられない問題発生?
住民登録に際して、また新たな問題が発生。なぜこんなところで、問題が発生する余地があるのか理解に苦しむのですが、それでも住民登録でつまづきます。
今回の滞在は、妻も同行しており、彼女が家族であり、また同居することを証明するために、戸籍謄本や婚姻届(をドイツ語に翻訳したもの)を提示する必要があります。この私が提示した日本の役所が発行した書類は、ドイツ側の役人は初めて見るもののはずです。それなのになぜか区役所の職員は、ドイツ側が持っている情報(!)と私が提示した書類の記載事項が異なると言うのです。
??????です。なぜドイツ側は、そもそも私の婚姻の情報を把握しているのでしょうか?これについては、全くこちらの理解が追いついていきません。その婚姻についての情報を、事前になぜドイツ側が把握しているのか問い合わせると、その職員はこちらのデータベースにデータがあると言います。そしてデータ作成日は、私が少なくとも日本に在住しており、長期間ドイツには滞在していない時期の日付になっているというのです。
向こうも理解に苦しんでいるようでした。挙げ句の果てに、あなたは目の前にいる人(妻)ではない人と実はすでに結婚しているのではないか?と疑う始末。
日本の行政が発行した、本人(私)が主張する事実を証明する正式な文書(ドイツ語の翻訳が添付されている)があるのだから、あなたの目の前のコンピューターにあるデータは、絶対に間違いである。いまここで修正すれば良いのでは?と提案したのですが、データを修正する権限が自分にはないとその職員は主張します。さらに、今日できることはもはやないので、上司と話合うので、出直してくれと言われました。
こちらの落ち度は全くゼロなのに、また予約枠をこちらで探して出向くというのは、勘弁してくれと、言ったところ、翌日の予約枠が提示され、とりあえずこの日は終了ということになりました。
4月9日:前回のやりとり、実は大家さんも同行してくれていました。彼は面白がって翌日も一緒についてきました。再び町外れまで車で出向きます。この日は、いきなり2人分の住民登録証(Einwohnermeldebestätigung)が出され、5分で用件は終了。向こうが言うには、上司と話合って、私の提出書類に基づいて、データを訂正したそうです。また書類の日付は、申請した8日づけになていました。これは当然でしょう。
後日談
これはあくまで私の想像の域をでないということを断っておきます。もし詳しく説明できる方がいたら教えてください。私の婚姻に関係する情報が記載された書類を、この区役所に提示する以前に、ドイツ側の官庁に提出した機会は実は、一度しかありませんでした。それは、上述の2026年1月に東京の大使館にヴィザを申請するための必要書類としてです。それをドイツ側の担当者がシステムに入力する時に、入力ミスしたのではないかと想像します。この誤った情報が区役所のコンピューター上で共有されたために、今回の一件は発生してきたのではないでしょうか?駐日ドイツ大使館(もくはドイツ外務省は)2ヶ月以上何の連絡もしてくれない上に、データの入力ミスまでして頂き、あやうくこちらは住民登録すらできないという事態になりそうでした。
4月9日:住民登録が無事終了したので、早速今度はハンブルク州の外国人局のポータルで、長期滞在ヴィザの申請を行いました。
4月21日:申請から約2週間後に早速返事が来ました。書類の受理が完了したので、審査のために外国人局に6月30日に来てくださいとのことです。返事が早く来たのは、日本大使館よりもましなのですが、結局審査は2ヶ月後です。90日のヴィザなし滞在期限が切れるわずか1週間前です。役所的には、役所側の都合で、申請者の滞在期限を超過させることによって、さらに手続き上面倒なことにするのを避けるために、無理して予約をねじ込んだのかもしれません。ただし、やや不安材料なのは、通知のメールには私の名前しか記載されていないことです。妻のヴィザもセットで申請したのですが、なぜ妻の名前は記載されていないのでしょう。
待っている間、現地でいろいろ情報が耳に入ってきました。当然のことながら、これまでの手続きは全てドイツ語で行う必要があるので、特に駐在員の方たちは、結構な費用を払ってすべて業者に代行してもらっているようです。また私の申請から審査日まで約3ヶ月というのは、実はかなり「迅速」な方だというのです。ヴィザなし期限の90日との関係はどうなっているのかと尋ねると、その間にFikitonsbescheinigungというものが発行されるのだそうです。Fiktionsbescheinigung?それは簡単に言えば、役所の側の事務手続きの遅さゆえに、滞在許可が切れてしまった人に対して、役所の側が発行する「仮滞在延長許可証」のようです。この仮滞在延長許可証で、ドイツ滞在の有効期限が数ヶ月延長されるようです。そもそも6ヶ月の予定で留学している学生で、入国後即座に滞在許可を申請し、仮滞在延長許可証が発行され、その後正規の審査日がこないまま、留学を終えて帰国するという冗談のようなケースが多発しているようです。あなたは研究者として大学関係者なので、かなり迅速な方ですよ、言われたのですが、全く素直には喜べません。
東京からの連絡
5月11日:東京の大使館のポータル・サイトから連絡が来ました。書類不備があるので、新たに書類をアップロードするように指示されました。新たに提出するように求められたのは、日本の住民票です。それも発行日が古すぎるというのが理由です。言いたいことは沢山ありますが、すでにドイツに滞在してドイツで審査が進んでいるので、日本側の手続きは無視することにしました。ハンブルク側から指摘されたら、平謝りということにしました。
また、おとなしく日本の大使館側からの通知を待っていたら、日本から出国できるたのは、最短でも6月始めくらいになったことをこの時点で理解しました。結果論でしかありませんが、ドイツで申請という決断は正しかったようです。→その後無視していたポータル・サイトから連絡が来て、私の申請は自動的に全て抹消されたそうです。新規に申請を行いたい場合、ポータル・サイト上で新たにアカウントを作成してくださいとのことだそうです。
妻は別枠?
5月28日:6月30日まではとりあえず、待機するしかないと思っていたのですが、外国人局から、妻の滞在許可に関して審査のために来訪すべき日時として7月20日の予約が確保された旨の通知が来ました。同行者用の滞在許可の審査は、私の滞在許可とセットで行われるはずなのに、何故か妻の予約が別枠として通知されてきたことには、また何か嫌な予感がよぎります。また7月20日という日程は、すでにビザなし滞在許可期間を過ぎてしまっています。役所が指定してきた日時が、すでにヴィザ無し滞在期限を過ぎているのは、こちらの落ち度ではありませんが、どうなのでしょう?何か腑に落ちないものを感じます。
6月17日:その後、外国人局からさらにメールで案内が来て、至急来訪日を予約するように要求されました。案件は、妻のFiktionsbescheinigung発行の件のようです。Fiktionsbescheinigung!聞いていた例のものが我が家にも来ました。つまり妻は、7月20日の審査日前に滞在許可が切れてしまうので、その間のつなぎの滞在許可を発行するので、それを受領する日程の予約を入れろということのようです。そこで6月23日に予約を入れました。ただし前にも述べたように、妻と私の滞在許可をセットなはずなので、この来訪日に私の審査も含めて行われる可能性も考慮に入れ、全ての書類を準備して、私も23日に同行することにしました。

(Hamburg Welcome Center)
6月23日:4月に申請を行ってから、ほぼ3ヶ月が経過し、ようやく外国人局の建物に直接足を踏み入れることができました。やっと人間と相対しながら手続きを行うことになりました。Welcome Centerというドイツの役所らしからぬ名称に少々戸惑いながら中に足を踏み入れると、これまで経験してきた外国人対応の官庁の「すさんだ」雰囲気とは随分違う感じ。予約時間にオフィスに入室すると、妻のみがパスポートを提示するように指示され、即座に仮滞在延長許可証が交付されました。私の審査はどうなっているのか聞いた所、「あたな別の日に予約が入っているはずです。その時に聞いてください。本日はこれまでです。お帰りください」とのこと。この間、正味5分程度でした。仮滞在許可証は、有効期限が9月20日までと記載されていましたが、太字で「ドイツ以外では無効」との記載がありました。つまり我々のヴィザなし滞在許可は、ドイツ以外のシェンゲン協定国では切れてしまいますので、私達は正規の長期滞在許可が発行されるまで、ドイツからは出られないということになります。

(Fiktionsbescheinigung)
6月30日:ついに私の長期滞在ビザの審査の日程が来ました。事前にヴィザ用の写真を撮影した後、緊張しつつ、面接室に行くと、係官はびっくりするほど、親切な対応でした。私が山のような審査関係書類をカバンから取り出すと、「随分沢山お持ちになったのですね。パスポートだけで結構ですよ」。これらの書類は事前にデータですでに送付済みだったのですが、審査当日はオリジナルを提示できるように、という指示だったので、いささ拍子抜け。
また妻の審査日は別に設定されているが、この日に同時にできないのですか?と聞いた所、全く問題ありませんとの回答。ついでに妻の分も全て済ませてしまいました。
一通り説明を受けた後、「1つだけ、追加で確認書類が必要です」と告げられ、フォーマットが渡されました。この書類を提出すれば、私の長期滞在ヴィザは発行されると告げられました。これは我々が加入している健康保険が、長期滞在ヴィザ発行のための条件を満たしているか、保険会社に証明してもらうための書類でした。楽勝と思っていたのですが、実は、これがさらなる苦難の始まりでした。
さらに係官は、私の名前の仮滞在延長証を発行し、手数料の支払いが必要であると告げてきました。それに加え全ての書類(つまりあとは保険会社の証明書のみ)がそろった後、滞在許可証の発行手続きを開始するが、交付までさらに4週間が必要だそうである。物腰は極めて丁寧なのですが、この時間感覚はなんとかならないものだろうか?
私の心の声が聞こえてしまったのか、係官はエクスプレス・サービスというのもあり、それを利用すれば、1週間で発行可能ですと言ってきました。さらにまだ4週間待たされるのはうんざりだったので、エクスプレス・サービスにすぐに飛びつきました。このサービスは「当然ながら」追加料金が必要なようで、全ての手数料込みで、2人分で総額308ユーロなり。驚いたことに仮滞在延長許可証も発行手数料がかかっていました。自分たちの仕事が遅くて、こうしたものの発行が必要になっているのに、さらにそれの発行手数料を要求するのか、と少々ムッとしたのですが、もうここまで来れば少々のことでは動揺しなくなりました。とりあず、外国人局を後にしました。これでこの件は、95%片付いた、と思っていました。
保険会社とのトラブル
6月30日:我々が加入した保険会社は、本社がハンブルクにあるのを知っていたので、証明書を発行してもらうために、外国人局からの帰り道、直接訪問しました。
しかしながら、守衛は我々を担当部署に取り次ぐことを拒否し、名刺を一枚渡して、全ての顧客対応は、メールか電話でしかしませんと言ってきました。そこでメール(と電話)で用件を伝えると、そっけなく自動返信で「可能な限り早急に対応させて頂きます」と返事が来ました。これがDX化の実態!
何か、嫌な予感。外国人局が提示した、書類の提出期限は2週間でしたが、1週間経った時点で何も返事がないので、念のため保険会社に通常の郵便でも問い合わせを行いました。期限まであと2日となっても、保険会社からは何の返信もありません。当然のこの書類を提出していないので、外国人局からも連絡はありません。これでは、何のために外国人局でエクスプレス・サービス利用したのか訳がわかりません。
7月12日:もはや自力解決は無理と判断。勤務先の大学の国際課の課長さんに、「泣き」を入れにいきます。課長さんは、HanseXXXXのような大企業の対応として信じられないと憤慨しながら、早速保険会社に苦情の電話を入れてくださいました。
7月14日:大学からの正規の苦情が利いたのか、保険会社から速攻で証明書が送付されてきました。それを速攻で、外国人局のホームページにアップロードしました。
7月15日:ここからはエクスプレス・サービスが発動したようで、外国人局から、滞在許可証が発行されたので、受け取りのための予約を入れるように指示が来ました。早速予約を入れましたが、最短の予約可能日が7月23日でした。結局外国人局に出頭した6月30日から数えると、約4週間後ということになります。
7月23日:予約時間に訪問し、無事に私も妻も長期滞在ヴィザが発給されました。知り合いから聞いてはいたのですが、ヴィザはパスポートに貼り付けられるのではなく、それ自体がカード式になっていました。またFiktionsbescheinigung(仮滞在延長許可証)は、この時点で没収されてしまいました。ともかく昨年の12月から動き始めていた一件、ここでめでたく完了ということになりました。

(発行された滞在許可証)