避難訓練(クルーズ船)

国際航路を運航するクルーズでは,乗船後24時間以内に避難訓練を全乗員・乗客に対して行わなくてはならないという規則があるようです.この訓練では,乗務員が救命胴衣の着用方法や緊急時の避難方法について説明します.7回の短い音と1回の長い音で構成される警報音が緊急時の合図である.訓練開始前に,事前に船内アナウンスでこの警報音の意味が説明され,またこの警報音が鳴った際に,(乗客数は膨大なので,1カ所に集合することは不可能なので)各自指定の集合場所へ移動するように指示がなされます.集合場所は,客室内の緊急時対応計画および各自のクルーズパスに記載されています.

いざ警報がなると,乗客は皆救命胴衣を持ってぞろぞろと集合場所に向かいます.乗船直後で乗客の皆さん高揚した気分であったこと,また私たちが属していたドイツ語を母語とするグループの集合場所は,船内にあるバーだったことから,避難訓練は完全に一つのアトラクション状態でした.

乗組員が,救命胴衣をつけた乗客一人一人を写真撮影していくのですが,カップル同士抱き合ったり,笑顔でポーズをとっていました.恐らくこの写真は当局等に提出する必要があるのか「これはお遊びではないので,真剣な表情をしてくれ」と乗組員に注意されている方が沢山おられました.

なおこの避難訓練をパスすることは,いかなる理由があっても不可能です.集合場所では当たり前ですが参加者の所在が確認され,欠席者の氏名は乗員によって把握されています.訓練自体は30分程度で終わるのですが,終了後欠席者は館内放送で呼び出され,避難訓練への参加を促され続けます.船の中で楽しい時間が過ぎている最中も,欠席者の呼び出しは続きますので,彼らは全乗客のさらしものになり続けることになります.

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フェルドハイムにおける再生可能エネルギー事業

ドイツ連邦共和国ブランデンブルク州にある集落フェルドハイムでは,現在(2024年)陸上風力発電,太陽光発電,バイオガス発電,村内全域への温水供給システム,蓄電施設が稼働しており,さらに水素の生産・貯蔵設備の建設が進められている.フェルドハイムは人口130人,世帯数30余りの集落にもかかわらず,それゆえにドイツ国内のみならず,全世界から視察が殺到する地域となっている.その様相は,外部の観察者の目線からすれば,まるで再生可能エネルギーに関する常設の一大ショールームのようである.

しかしながらよく注意して観察すると,それぞれの事業は,特定の企業の主導によって,地域社会と分離した形で運営されているのではなく,フェルドハイムの地域社会ないし市民社会と企業とが,有機的かつ不可分の形で協働する形で機能していることに気付かされる.

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